『女の園の星』レビュー|女子校の静かなカオスと星先生の魅力を徹底解説【和山やま作品】

『女の園の星』の主人公・星三津彦先生。眼鏡と白シャツ姿でチョークと布を持ち、知的で穏やかな雰囲気を漂わせる表紙イラスト。 一巻レビュー
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『女の園の星』とは?──女子校の日常を描く“静かなカオス”の傑作

『女の園の星』は、和山やま先生が描く、女子校の日常を舞台にしたコメディ作品だ。

舞台となる学校は私立か公立か明言されていないが、雰囲気としてはどこか私立の女子校らしい空気が漂っている。

この作品を知ったきっかけは、芸人さん達が漫画を紹介するバラエティ番組で「今もっともキている漫画家」として和山やま先生が取り上げられていたことだった。

メガネをかけた星先生が「2-4 学級日誌」を手に持ち、落ち着いた表情で立つ学園漫画『女の園の星』第1巻の扉絵。星三津彦先生。
コミックス『女の園の星』1巻より。

しっかりしたストーリー漫画かと思いきや、実際は女子高の日常を淡々と描くタイプの作品で、その“何気ない日常の中の異常な面白さ”に一気に引き込まれた。

私は小学校の教員をしているので、学校が舞台の作品は細かいところが気になってしまうのだが、『女の園の星』は引っかかる部分がなく、むしろ「あるある!」と頷きながら楽しめた。

女子高生が無駄なことに全力を注ぐ姿や、こちらの想像を超える角度から物事を見る感性は、読んでいて本当に面白い。

岡田あーみん先生のように、女性でありながらぶっ飛んだギャグを描ける才能を感じる。

星先生と2年4組の生徒たち──学級日誌・名簿・日常のリアリティ

物語の中心となるのは、国語科の星先生。

学級日誌の備考欄で繰り広げられる絵しりとりを毎日見守る姿が印象的だ。

初めて読んだときには気づかなかったが、星先生のフルネームは「星三津彦」。

学級日誌の表紙にしっかり書かれている。

私は私立の小学校で働いており、同じ敷地内に女子中・女子高も併設されているため、女子校の雰囲気はなんとなくわかる。

この作品の生徒たちはみんな日誌を真面目に書いていて、そこにもリアリティを感じた。

クラス名簿が一瞬だけ見えるシーンがあり、「香川さん」の前に「小島さん」がいることから、五十音順で考えると「小島」は“おじま”読みなのだろうと推測できる。

星先生が生徒の絵を見て悩み、「明日の当番の絵で答えが見えるかも」と考え、名簿から次の当番・久保田さんの名前を確認するシーン。
コミックス『女の園の星』1巻より。

後に登場する鳥井さんは出席番号18番で、和山先生は2年4組の名簿をきちんと作り込んでから描いているのだろうと感じた。

星先生はお弁当派で、これは私の勤務先の中高部と同じだ。

小学校は給食なので食べ損ねることはないが、私は毎年、給食当番の児童がモタモタ準備することにイライラしてしまう。

時間さえあればあと数杯は食べられるのに、小学生は4時間目が終わるとロブロックスや桃鉄の話をしながら準備をする。

給食の準備時間は給食の準備だけしてほしい、と毎日思っている。

職員室の描写もリアルで、星先生の隣には小林先生が座っている。

学校ではよほどのことがない限り「〇〇先生」と呼ぶので、このあたりの描写も現場感がある。

個人的に一番気になるのは「小学生を生徒とは呼ばない」という点で、小学生は“児童”だ。

ここを間違えると一気にリアリティが崩れるので、学校漫画では重要なポイントだと思う。

女子校の“静かなカオス”──犬騒動・副担任・個性豊かな先生たち

2話目では、ベランダに犬が落下してくるという衝撃的なシーンがある。(痛そうとか苦しそう、ということはありません。)

上の階の教室のベランダから落ちてきたが、前足の付け根につけるハーネスのおかげで無事だった。

上の教室では副担任の評判が悪く、犬が「副担」、副担任は「たまに教室に入ってくるおじさん」と呼ばれている。

女子高生のネーミングセンスは本当に独特で、X(旧Twitter)で見かける“センスがぶっ飛んでいる女性”を思い出す。

犬の名前は「セツコ」で、3年2組の担任の実家で飼われている犬だった。

コミックス「女の園の星」1巻より。犬のセツコを囲む女子高生。
コミックス『女の園の星』1巻より

ジョジョっぽさもあり、『火垂るの墓』っぽさもある絶妙な名前だ。

小林先生の犬嫌いエピソードは普通に怖い。

ドラゴンヘッドのようなトラウマ級の体験で、読んでいて背筋が寒くなった。

松岡さんの描く『エターナル・カオル』は劇中劇のようなぶっ飛んだ世界観で、これもまた女子校のカオスを象徴している。

星先生の漫画のまとめ方がまさかの“天丼”だったのも笑ってしまった。

星先生と小林先生──居酒屋・あだ名・飲み方・観察日記

小林先生は生徒から「ポロシャツアンバサダー」と呼ばれ、星先生は一時期「無印良品」と呼ばれていた。

女子高生のあだ名センスは本当に秀逸で、思わず唸ってしまう。

星先生のシャツがスタンドカラーであることに気づき、調べてしまった。マジシャンズ「レッド」でもハイエロファント「グリーン」でもなく、襟が折り返されず立ち上がっているデザインのことだった。

コミックス『女の園の星』1巻より。
星先生と小林先生。
『女の園の星』の主人公・星三津彦先生。眼鏡と白シャツ姿でチョークと布を持ち、知的で穏やかな雰囲気を漂わせる表紙イラスト。

3枚で5000円は確かにお買い得だ。

この学校は退勤時間が遅く、19時50分にまだ多くの先生が残っている。

部活が活発な学校なのだろうか。

星先生も小林先生も顧問ではなさそうだが、学校によってはこの時間帯でも普通に先生が残っている。

店員さんを呼ぶのが苦手な星先生、小林先生は車なので飲まないが、星先生が飲まない理由は説明途中で遮られてしまい不明のまま。

なぜ二人とも飲まないのに居酒屋へ行ったのかは謎だが、星先生は元々小学校の教員だったという設定があり、そこにも親近感を覚える。

小林先生はウーロン茶と魚のつまみばかり頼み、サザエさんを録画して土曜日に観るという独特の習慣を持っている。

星先生はトマトハイ6杯で出来上がり、笑い→無感情→泣き→謝りまくるという情緒のジェットコースターを見せる。

この“何にでも謝る星先生”が小林先生は好きらしい。

女子高生が先生を街で見かけると反応してしまうのはよくわかる。萎えるのかー。

できればこちらもオフのときには児童、生徒には会いたくない。

鳥井毬子さんは星先生の観察日記をつけているが、恋愛感情ではないらしい。

フルネームに作者の意図があるのか気になる。

授業の質問をされて悪い気がする教員はいないので、長田先生の反応も自然だ。

鳥井さんがバズーカを持って街中を歩いていたのは驚いたが、女子高生が本物を持つわけがないという先入観があるからこそ成立するギャグだと思う。

作者・和山やま先生について(ウィキペディア参照)

和山やま先生は1995年生まれ、沖縄県糸満市出身の漫画家。

東京工芸大学マンガ学科在学中にデビューし、初期は「和山友彦」名義で活動していた。

現在は女性であることが確認されており、繊細で観察力に優れた作風が特徴だ。

代表作には『夢中さ、きみに。』『女の園の星』『カラオケ行こ!』があり、いずれも独特の間と空気感、そして“静かな狂気”のような笑いが魅力となっている。

女子校出身ではないが、女子校の空気をここまでリアルに描けるのは、観察力と取材力、そして独自の感性によるものだろう。

『女の園の星』アニメ情報(最新)

『女の園の星』はすでにアニメ化されており、単行本3巻の特装版にオリジナルアニメBlu-rayが付属している。

テレビシリーズではなく、特装版限定のアニメだ。

キャストは豪華で、星先生役を星野源、小林先生役を宮野真守が担当している。

作品の空気感をそのまま映像化したような仕上がりで、ファンからの評価も高い。

現時点ではTVアニメシリーズ化の発表はないが、作品の人気を考えると今後の展開にも期待が高まる。

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