はじめての夜、はじめての自由

中学2年生の夜守コウは、ある夜、初めて夜間の外出を経験する。
学校で女子に告白されたものの、「付き合う」という感覚がよくわからず、結果的に断ってしまったコウ。
その後、彼女の友人に責められ、何もかもが嫌になってしまう。
不登校になり、夜も眠れなくなったコウは、誰もいない夜の街へと歩き出す。
人通りもなく、誰にも干渉されない夜の世界。
そこには、昼間とは違う静かな自由が広がっていた。
自販機のビールと、ちょっとした背徳感

スマホで不眠について調べていると、「酒が効く」という情報が目に留まる。
興味本位で自販機のビールを買ってみるコウ。
今の時代、コンプライアンスや表現規制が厳しくなっているけれど、未成年が誰もいない夜にこっそりビールを買う──その高揚感と後ろめたさが、夜の空気に溶けていく。
違法・合法問わずドラッグには手を出そうなんて思わないが、酒やタバコにちょっとだけ触れてみたくなる気持ち…それは、誰にでもあるものかもしれない。
ナズナとの出会い──吸血鬼は意外と照れ屋?

ビールを手にした瞬間、得体の知れない女性に声をかけられる。
彼女の名は七草ナズナ。なんと吸血鬼だった。
ナズナの部屋に誘われ、布団に寝かされるコウ。
寝たふりをしていたが、結局血を吸われてしまう。
しかもコウの血は「美味しい」らしい。
私、ヨハネにとって吸血鬼といえば「ウリリリリリィ、ジョ◯ョ、俺は人間をやめるぞォーー!!」というイメージだったが、ナズナは照れ屋で下ネタ好き、そしてちょっとカッコいい吸血鬼だった。
吸血鬼になる条件──恋と夜ふかし

血を吸われたことで、自分も吸血鬼になったのでは?と不安になるコウ。
ナズナによると、吸血鬼になるには「吸血鬼に恋をすること」が条件。
つまり、コウがナズナに恋をして、そのうえで血を吸われる必要がある。
ナズナは夜の魅力を語り、コウはその世界に惹かれていく。
そして「吸血鬼になりたい」と告げるコウ。
お互い名前を聞いて、ふたりの夜ふかしが始まる。
ナズナとの夜遊び、そして芽生える感情

コウはナズナから夜の楽しみ方を教わる。
血を吸われるのは“お返し”ではないけれど、ナズナが他の人の血を吸うことに複雑な気持ちを抱くコウ。
まだナズナに恋しているわけではないけれど…それってもう、恋なのでは?
幼馴染・アキラの登場で広がる世界

物語の終盤、コウの幼馴染・朝井アキラが登場。
コウが誰かに持って行かれたと思っていたトランシーバーを手に、学校に行こうと誘う。
早朝に会うようになったコウとアキラ。
そんなコウの変化に気づいたナズナが現れ、アキラに自分が吸血鬼であることを明かす。
3人でお店に入り、ナズナはビール、コウとアキラはコーヒーを飲む。
明け方にコーヒーを飲む中学生…なんとも不思議な光景。
少し怒ったナズナとコウが仲直りし、物語は第1巻の幕を閉じる。
次の記事 薙刀の世界へようこそ—『あさひなぐ』1巻の魅力 はこちら
かわいい先輩に追いかけられる?『ひとりぼっちの地球侵略』 はこちら
英国を舞台に繰り広げられる吸血鬼対戦!『ヘルシング』1巻レビュー はこちら
少年マンガの金字塔『ドラゴンボール』 はこちら
コメント