三月下旬、雪が残っている中、城のようなたたずまいの会津若松駅。
高校進学のため祖母の姉、はとこの住む家に下宿することになったあおい。
駅に迎えに来てくれたのは、はとこの鶴子。
と、赤べこのあかまつ。
一話目のあおいと読者はほぼ同じ感想を持つ。
「…可愛いな」
「マジか?今歩いた?」
「鳴いた!マジでか!?」
「何コレ本物なの?」
「生き物なの?」
「赤べこって生き物なの?」
「赤べこって首振ってる置き物のことじゃないの?」
「飼ってる…?赤べこを?」
そして「会津ではそれがふつうなの?」に対して鶴子は「まあ はい 多分…」
と答える。
続けてUMAだのCGだの言い続けるあおい。
読者も同じ気持ちになるが鶴子は意に介さない。
一話目では他にすれ違う人、街の人が一切出てこないため、他の人があかまつをどう見ているのかはわからない。
二話目に登場するみゆき。
ここで意外な展開となる。
みゆきは「赤べこじゃん、初めて見たわ 触ってもダイジョブ?」とテレビで見かける軽めの珍獣くらいの反応をする。
あおいとみゆきはこの春から同じ看護資格が取れる高校へ進学する。
鶴子も別の高校に入学予定。
そして、ばーちゃんの強いすすめもあり、みゆきは鶴子たちと一緒に食事をし、風呂にも入ることになる。
平日はなんとか目を覚ますものの、休みの日はなかなか活動モードになれずにまどろんでいる鶴子。
無理にでも起こさないと日が暮れる、たまには灸をすえてやれ、とばーちゃんが言うので、みゆきが鶴子の顔に鼻を黒く塗り、ネコの髭を描く。
みゆきは鶴子に描いていいか聞いた、と言い訳するが、鶴子は朝のことは大抵覚えていない。
飯盛山に向かう3人だったが麓のソース串カツ屋で休憩し、恐らく帰ってきたと思われる。
串カツ屋のお姉さんもあかまつを見ているはずだがリアクションはゼロ。
なので、3人とばーちゃんにしか見えていない「あかまつは神の使い」説を推したい。
この串カツ屋さんのお姉さんが「やけにリアルに描かれている」感じがしたので調べると実在するお店、であった。

あおいたちが食べたものもホームページで見られ、実際に食べに行くこともできる。
猫顔にされていた鶴子がどのように気がついて、どんなリアクションをしたか、は描写がない。
ちなみに、1巻のカバーをとると4コママンガになっている。
カバーの取れない漫画喫茶などでは読むことができない。
鶴子の入学式の日。
あおいとみゆきはあかまつを散歩に連れて行く。
結局、あおいは、あかまつとの距離を縮められなかった。
1巻最終話
休日でほぼ意識のない鶴子。
それをよいことにあおいは鶴子の髪を結く。
鶴子もまんざらではない様子。
鶴子は幼い頃の夢を見る。
そこではあおいらしき少女に、今と同じように髪を結んでもらっている夢だった。
2人ははとこなので幼い頃に会っていても少しも不思議ではない。
今と同じあおいの家である郡山といわきの間まで鶴子が連れて行ってもらったのかもしれないが確証のないまま、1巻はここで終わる。
あかまつが当然のように飼われていることを除けば清々しいくらいになんの事件も起きないマンガである。
あおい
遠慮のない高校1年生。

看護資格を取れる高校への入学を機に「郡山といわきの間」から会津若松へ下宿することに。
食欲旺盛で鶴子好き。
あかまつにはさわれず、鶴子を撫で回す
美味しいものにはすぐ財布の紐が緩み、すぐにお腹がすくタイプ。
実家は牛、ヤギ、鶏を飼っていることから、酪農を営んでいるのではないか。
看護師志望だが美容師でもやるの?と言われるくらいの器用さ。
鶴子

袴がトレードマーク。
動く赤べこ「あかまつ」を飼っている。
本人は訛りを気にして敬語で話すことが多い。
写真に撮られるのが嫌で顔を隠す。
休みの日はとにかく起きない。
起きてもまた寝る、そのときのことは少しも覚えていないことが多い。
歴女であり、話し出すと止まらなくなる。
食事のときは椅子に正座して食べている。
みゆき
大人っぽい見た目で少し気だるそうな雰囲気のある16歳。

あおいと同じ高校に入学する。
漢字を読み間違えたり、友達になってほしいと気軽に言えず、ものすごく照れて恥ずかしそうにする割には、飼い犬のやしちは「元気で人懐っこくて時々うっといけどかわいいもんだ」「なんだかお前に似てるな」とあおいにサラリと言えた.
郡山の安積出身。
私、ヨハネの母が郡山の西田出身。
数えるほどしか行ったことはないがコンビニまで〇〇分とか〇〇kmと言うのもあの辺ならうなづける。
ばーちゃん

食事のことだったり「食べた後は休め」等、ハッキリものを言うタイプのばーちゃん。
チョコを飼ってきてくれと鶴子に頼み、食後は読書して20時には寝る。
鶴子の顔にイタズラするようにマジックをみゆきに手渡した張本人。
こうしてみるとばーちゃんはなかなかの曲者だな…。
あかまつ

赤べこに見える牛。
ではないだろうし、豚でもない。
赤べこ。
当たり前のように飼っている鶴子曰く「会津ではふつう」と言っているので、私たち読者も会津若松に行けば、そこかしこで赤べこが見られるのかもしれない。
2巻で完結してしまう。
できることなら続編を読みたい。
看護師になったあおいやみゆきも気になるが、彼女たちは一生JKでいてほしい。
3人の全く事件の起こらない日常がずーっと続いてほしい。
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