1巻のあらすじ
区立天空台中学校3年の烏丸英司。

彼にとって、世の中は全て腹立たしく、とにかく「ウザい日常」を送っていた。
腐れ縁の親友、鴨田と午後の授業をサボってふ頭公園へ。
そこで同学年の鷺沢怜、海野つばめと出会う。
帰りのバスに乗り合わせたのは英司達4人のみ。
英司が世界の不公平さ、つまらなさを嘆いて世界の終わりを願う。
その瞬間バスはガードレールを突き破り、転落する。
路線バスが真っ逆さまになって、地面が叩きつけられるほどの大事故にも関わらず、4人は軽傷で済んだ。
事故後、背中に模様が現れ、翼が生えるようになってしまった4人。
どうやら鷺沢によると、事故の最中、彼らは命を助けてもらう代わりに、鳥男の血を飲んで契約をした、のだという。

鳥男の正体に心当たりのある英司達は、鳥男との接触をはかる。
それはクラスメイトの鷹山で、読み通り彼が鳥男だった。
鷹山からなるべく早く翼だけでなく、変身を完成させること、「ブラックアウト」に備えるように、ということを言われる。
つばめが得体の知れないバケモノに襲われているところを鳥男と化した鷹山が助け出し、化け物を倒す。
鳥男になった、という第1の山場、そして恐らくこのバケモノたちと戦うことになるという第2の山場があって1巻は終わる。
烏丸英司
本作の主人公。
かつて中学受験でドロップアウトした経験がある。
『銀の匙』の八軒勇吾と似たような境遇。

動画を観てはしゃぐ同級生も、通学中にキャピキャピしている女子も、とにかく目に入るもの全てイラつくという中3男子真っ只中。
母親の用意してくれた朝食にも手をつけず、心の中で悪態をつく。
モテたい、チヤホヤされたい、のだが彼女、友達どころか誰からも関心を持ってもらえないと思っている。
男子中学生は部活で活躍してモテたいとか、進学校に行ってモテたい、とにかく何かの間違いでモテたいくらいしか思うことはないので、後に海野つばめに連絡先を聞かれると激しく動揺した。
聞いた話によると、恋人や結婚相手について「良いヒトがいない」というのは男女で大きな違いがあるのだそう。
女性の言う「良いヒトがいない」とは、出席した結婚式で引き出物としてもらったカタログギフトを見て「良いモノないなー」と同じなのだという。
男性の「良いヒトがいない」は砂漠で遭難したときのオアシスくらい、とにかくないのだそう。
とてもよくわかる。
ついでなのでもう少し言うと、交際に至るまでは5人でも6人でも同時に「水族館に行こう」「◯◯の✖️✖️を食べに行こう」と誘った方が良い。
付き合いだしてから、決まった相手を大事にすれば良い。
交際する前から一人だけに決めてかかるのは相手にとって、「重い」らしい。
余談終わり。
鴨田
寺の息子でケンカが強いという『ろくでなしブルース』の前田太尊システム。
顔と図体と雰囲気が強く怖そうなため、ヤンキーに絡まれやすい。

一方、女子は非常に怖がっているため、告白相手の女子も震えながら泣いて断る始末。
英司とは仲良くツルんでいて対等な関係。
鳥男を見つけて幸せになろうとしたり、ネコを可愛がったりという一面も見せる。
鷺沢怜と海野つばめ
ふ頭公園で英司たちが出会った二人。
つばめは横浜の中学校に通っているため、英司とは初対面なのだが、天真爛漫で顔も近いし、ぐいぐい来るタイプ。

つばめのペースで進み、英司と鴨田が思わず顔を赤らめているところに同中の鷺沢が現れる。
鷺沢はタワマンの最上階に住んでいて、マンションの部屋では秘書が客人の対応をする。
ハーフでイケメン、知性も感じさせる鷺沢。

こういうのは嫌なやつと相場が決まっているところなのだが、鷺沢は全然嫌なやつではない。
英司たちと同様に読者であるこちらが勝手に引け目を感じていても、鷺沢は自然体でいけすかない言動や振る舞いは一切ない。
この作品では1巻巻末まで「イヤな奴」が登場しない。
鷹山崇
天空台中学3年で英司と同じクラス。

中2の終わりに恐らく鳥取か島根か、日本海側から転校してきた。

鷹山は無口なサボり魔のイメージを持たれているが、鳥男の張本人。
新校舎の屋上にいた、のは恐らく鷹山だと思われるが、飛び降りのエピソードが何かの伏線になっているのかは、現時点では不明。
1巻の表紙も鷹山が描かれている。
達観したような話ぶりで、とつとつと英司達に鳥男のこと、変身のこと、ブラックアウトのことを語り出す。
一度は読むべき、映画のような無駄のない話の展開。
登場人物のキャラもしっかり描かれている。
絵も美しく、間違いなく引き込まれる作品。
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