概要とあらすじ
金塊を巡る物語なので「ゴールデン」。
「カムイ」はアイヌの言葉で「神」。
厳しい環境の中で繁栄してきたアイヌの文化はサバイバルに、戦闘術に、と幅広く有用である。
アシリパが亡き父から教わっていて、余すところなく杉元に伝える。
明治37年、西暦1904年の日露戦争のシーンから始まる。
「不死身の杉元」の鬼気迫る戦いぶり、やられる前にやる戦いぶり、
なんとしても生き残るという生への執着心が見てとれる。
1話目で不死身の杉元が金塊の存在と隠し場所について知り、
アシリパと出会い、金塊争奪戦に加わる経緯が描かれている。
アイヌたちが迫害してくる日本人に対抗するため、軍資金として溜め込んだ75kgの金塊。
それを一人の男がぶんどった。
男は捕えられるが、金塊の隠し場所を牢獄の外の仲間に伝えるため24人の死刑囚の体に地図を刺青したのだった。
杉元佐一
通称「不死身の杉元」。

日露戦争で武勲を立てるも上官を半殺しにしてしまい、年金が得られず。
砂金採掘で一攫千金を狙っていたところ、たまたま居合わせた酔っ払いから隠された金塊の話を聞く。
杉元の家族は皆、結核に感染していて、村中の人間から避けられていた。
恋仲になった梅子の幸せを願い、杉元は身を引く。

梅子はその後、杉元の幼馴染で親友の寅次と家庭を持つが、寅次は戦死してしまう。
杉元は梅子が眼を患っていることを知る。
梅子の眼を治し、生まれた子を養うために杉元は大金を得る必要があった。
名前は作者野田サトル先生の曾祖父「杉本佐一」から。
人物としてのモデルは『不死身の分隊長』と呼ばれた、帝国陸軍の舩坂弘軍曹からかと。
渋谷の「大盛堂書店」は舩坂弘軍曹が開いた書店なのだそう。
今度写真を撮ってこよう。
アシリパ
アイヌの少女。

見た目は12〜13歳。
父から教わった生存術、戦闘術をよく理解し、使いこなせる。
強く、知的でいかなるときも冷静。
弓の名手であり、遠距離から狙撃されたときも瞬時に煙幕をはっている。
ヒグマと対峙したときも最後まで冷静だった。
ヒグマの生態や倒した後の解体術にも明るい。
気候の変化を予測することもでき、厳しい寒さに対抗する術も持っている。
殺された父の仇を取るため杉元と手を組む。

が、人を殺さないというポリシーは守る。
杉元は「アシリパさん」と呼んでいて敬意を表している。
個人的には、頼れる少女としてスパイファミリーのアーニャと重なる。
杉元にリスの脳みそを食べさせるときの表情もアーニャと似ている。

1巻では母や妹たちは出てこない。
弱点らしい弱点も見当たらない。
白石由竹
脱獄王の異名を持つ。
関節を脱臼させることができるので、狭い監視用の穴を通ることができる。
脱獄に備え、カミソリや弾丸などを飲み込んでいていつでも吐き出すことができる。
自身も元は死刑囚であり、隠し場所が刺青で彫られている。
杉元とアシリパに捕えられるが、自力で一度逃げる。
再び杉元と揉み合って真冬の川に転落。
二人で協力してなんとか一命を取り止め、改めて逃げおおせる。

真冬の北海道では常に死と隣り合わせであることがわかる。
尾形上等兵
金塊の存在を知り、杉元と同じように探している者達がたくさんいる。
大日本帝国陸軍第七師団の尾形上等兵もそのうちの一人。

杉元に片腕を折られても、表情一つ変えず逃走。
川に落ちて自力で岸まで這い上がったところを同胞に回収される強運を持ち合わせている。
意識の戻った尾形上等兵を訪ねる鶴見中尉の恐ろしい風貌が明らかになり、
1巻が終了。

弱いやつは食われる
杉元とアシリパの共通見解。

敵が人間であれ、ヒグマであれ、自然そのものであれ、なんとしてでも生き延びる強い意思を持たねばならない。
人を殺める覚悟がある杉元と、
殺めることはしないアシリパ、という違いがある。
生きるためには食べることも重要。
限られた食材を余すことなく、美味しく食べることにもこだわっている。
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