『MAO(マオ)』とは?高橋留美子が描く“和風怪異ミステリー”の魅力
『MAO(マオ)』は、日本漫画界のレジェンド・高橋留美子先生が手がける最新作。
高橋先生はデビュー作『うる星やつら』でいきなり長期連載・アニメ化・映画化を成功させた稀有な作家であり、その後も『めぞん一刻』『らんま1/2』『犬夜叉』『境界のRINNE』など、数々の国民的作品を生み出してきたレジェンド作家。
そんな高橋留美子が描く『MAO』は、現代と大正時代が交錯する呪いと怪異の物語で、冒頭から不穏な空気が漂う。
第1話「菜花」は、人型の化け物が死人の髪を食べているようなシーンから始まり、読者を一気に物語へ引き込む。
現代では道路が陥没し、ランドセルを背負った幼い女の子が重傷を負って倒れている。この少女が本作の主人公、菜花(なのか)。
菜花は祖父と家政婦の魚住さんと暮らしており、両親はすでに亡くなっている。
魚住さん特製のスムージーは地獄の泥沼のようにまずいらしく、菜花は毎回苦戦している。
中学校では運動が得意そうに見えるのに意外と遅いというギャップもあり、親しみやすいキャラクターだ。
菜花を導く“陥没事故”と時空の歪み──大正時代への迷い込み
菜花の両親は、五行町のシャッター街前で起きた陥没事故で亡くなった。
この事故は菜花が小学1年生のときで、ランドセルを背負ったまま車に乗っていたが、窓が閉まっていたにもかかわらず車外へ投げ出され、息が止まるほどの重傷を負ったという過去を持つ。
その事故現場を訪れた菜花は、突然、時空の歪みに巻き込まれ、大正時代の街へ迷い込む。

そこで出会ったのが、刀を腰に差した青年・摩緒(まお)と、シャベルを担いだ少年・乙弥(おとや)だった。
直後に、菜花は額が割れ、カマキリのような化け物が飛び出す女性に襲われる。
必死に逃げる菜花だが、摩緒は助けようとせず「譲ろう」と言い放つ。
怒りながらも逃げる菜花に化け物の鎌が迫り、返り血が化け物にかかると、まるで強い酸を浴びたように体が溶け出し、化け物は逃げ去った。
摩緒は刀で化け物を斬り伏せ、乙弥は死骸の中から本体を取り出す。
菜花は助けてくれなかったことを摩緒に詰め寄るが、右手が切断されていることに気づき、そのまま気を失う。

目を覚ますと右手は元通りにくっついており、痛みもない。摩緒が治療したのだという。
摩緒は菜花に「お前は妖だろう」と問いかける。
菜花は逃げるようにその場を離れ、現代へ戻るが、友人によれば一瞬の出来事だったらしい。
摩緒によると菜花は何かによって力を封じられており、解毒を施したことで人間離れした身体能力が発現し、一飛びで学校の屋上に届くほどになっていた。
菜花の目は猫のように変化しており、ここまでが第1話。
摩緒と乙弥、猫鬼の呪い──大正怪異ミステリーが動き出す
菜花は摩緒の言葉が気になり、再び五行町を訪れる。
今回も時空が歪み、大正時代へ足を踏み入れると、乙弥が菜花に気づき声をかけてくる。
乙弥は摩緒の下働きで、自分のことを「手前(てまえ)」と呼ぶ古風な少年だ。

菜花は摩緒と話したいと伝えるが、摩緒はこの街を調べている最中だった。
大正時代の街では人が透けて見えることがあり、乙弥によればこの街には結界が張られているという。摩緒と乙弥は昨日ここに来たばかりで、菜花が思っていたようにこの街の住人ではなかった。
摩緒は陰陽師であり、占い、治療、妖との戦いを行う人物。
彼が追っているのは「猫鬼(びょうき)」という恐ろしい妖怪。
摩緒は猫鬼に呪われており、背中には大きな引っかき傷が残っている。
ツボの中に毒虫を入れて食い合いをさせ、最後に残った一匹が呪いの力を持つという恐ろしい儀式は、物語の不気味さを際立たせている。
猫同士を戦わせ、餌を与えず、最後に生き残った一匹も蠱毒と同じように非常に強い呪いの力を持っていて、それが猫鬼となった。
菜花は陥没事故のときに人型の化け物を見たことを思い出し、摩緒たちとともに街の調査へ向かう。
新聞の日付から、菜花はここが大正12年であることを知る。
首なし事件と蜘蛛の妖、破軍星の太刀──1巻のクライマックス
大正時代の街では、若い男性の首なし事件が続発していた。
奉公人の小夜子は、主人の不審な行動を摩緒に相談する。
主人は顔に包帯を巻き、夜な夜な外出し、血の滴るカバンを持ち帰っていたという。
摩緒は小夜子の話を聞き、館へ向かう。
主人は小夜子を責め立て、刀を抜いて襲いかかるが、摩緒が窓を破って登場し対峙する。
主人は小夜子を投げつけて逃げ出し、摩緒は追いかける。
実は主人は蜘蛛の妖に操られており、本体は奥方だった。
若い男性の首は卵を産みつけるために必要だったのだ。
部屋中に張り巡らされた糸に菜花と乙弥は捕らわれ、菜花は窒息寸前に追い込まれる。
摩緒は相手が猫鬼ではないとわかると興味を失い、戦う気を見せない。
そんな中、菜花は血で糸を溶かし、摩緒の刀「破軍星の太刀」で蜘蛛の本体を斬り伏せる。
この刀は猫鬼の血を浴びた呪いの刀で、普通の人間が使えば毒が回るはずだが、菜花は平気だった。
菜花自身が猫鬼の呪いに関わっている可能性が浮上する。
乙弥は真っ二つになっても生きており、実は式神であることが判明する。
菜花が幼い頃に経験した事故では、菜花自身の血ではなく猫鬼の血を浴びていた可能性が出てきた。
摩緒は菜花に解毒剤を渡し、力が出ないときに飲むように告げる。
菜花が現代に戻ると一週間が経っており、時間の流れが一定ではないことが明らかになる。
陥没事故の真相、鐘子様の教団、寿命を操る呪い──1巻の終盤へ
2011年9月1日に起きた五行町の陥没事故では、菜花の両親が死亡し、菜花だけが奇跡的に助かった。事故はただの陥没ではなく、横から抉り取られたような異常な崩れ方をしていた。
菜花は「向こう側の炎」を記憶しており、車の窓が閉まっていたのに外へ出た理由も不明のままだ。
菜花の同級生・白羽くんは菜花のことが好きで、事故についても調べていた。
菜花が摩緒を訪ねると、摩緒は空き家を見つけて妖怪相手の医者を開業していた。
妖怪には良いものも悪いものもいるという。
現代での2日間が、大正時代では10日間経過しており、時間の流れが読めない。
菜花が見た大火事は摩緒が調べたところ、大正時代には起きておらず、時空の歪みだけでなくパラレルワールドの存在も示唆される。
1巻の最終話では、女教祖・鐘子様のエピソードが描かれる。
入信した娘を連れ戻しに来た男性が鐘子様に「三日で寿命が尽きる」と宣告され、本当に三日後に心臓麻痺で死亡した。

鐘子様は寿命を操る力を持つと噂されており、猫鬼も寿命を操る術を知っている。
摩緒がかつて警護していた宝物殿には秘伝書があり、猫鬼はそれを食べて寿命を操る術を会得した。
摩緒は900年ほど生きており、菜花も同じように不老不死の可能性がある。
鐘子様も猫鬼から術を教わっている可能性があり、菜花は女学生に変装して教団に潜入することになる。
教団では鐘子様の念を込めた石を販売し利益を得ていた。
道場主が急死した事件では、門前に呪詛人形が埋められており、呪いによって心臓麻痺を起こしたと考えられる。
作者・高橋留美子先生について(ウィキペディア参照)
高橋留美子先生は1957年生まれ、新潟県出身の漫画家で、世界的にも高く評価されている。
デビュー作『うる星やつら』で一躍人気作家となり、その後も『めぞん一刻』『らんま1/2』『犬夜叉』『境界のRINNE』など、数々の名作を生み出してきた。
日本女子大学在学中にデビュー、『うる星やつら』を連載するようになり、卒論「江戸刑罰史」の資料を担当編集者さんが揃えて持っていった、というのをどこかで見かけたな…。
受賞歴も華々しく、紫綬褒章、アングレーム国際漫画祭グランプリ、アイズナー賞「コミックの殿堂」入りなど、日本だけでなく海外でも高い評価を受けている。
作風はラブコメから怪異まで幅広く、キャラクター造形の巧みさとテンポの良い物語運びが特徴だ。
『MAO』は高橋留美子作品の中でも特に“和風怪異ミステリー”色が強く、長年のファンにも新鮮な驚きを与える作品となっている。
2026年春アニメ情報(最新)
『MAO』は2026年春、NHK総合でアニメ放送がスタートする。
摩緒役には梶裕貴、菜花役には川井田夏海、乙弥役には下野紘、華紋役には豊永利行と、豪華キャストが名を連ねる。
監督は佐藤照雄、シリーズ構成は柿原優子、アニメーション制作はサンライズが担当し、原作の緻密な世界観を高品質な映像で再現することが期待されている。
大正時代の怪異、呪い、寿命を操る術、そして菜花と摩緒の謎めいた関係。
『MAO』はアニメ化によってさらに多くの人に知られる作品になるだろう。
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