あらすじ
街の喧騒が溢れるロンドンの一角。
ある日、大悪魔マルバスが目にしたのは、孤児ウィステリアが神父のもとで物乞いをしている姿でした。
この神父は、孤児たちに物乞いをさせ、自分の懐にその施しを巻き上げる冷酷な人物。
興味を引かれたマルバスは、ウィステリアが悪魔を視ることができる希少な存在であると気づきます。
その夜から、マルバスは教会の屋根裏部屋を訪れ、自由のないウィステリアに様々な見聞を語りかける日々が始まります。
ウィステリアは、マルバスを「大物っぽい」と冗談交じりに評します。
物おじせず言いたいことを伝える彼女の姿勢が印象的。
平穏な日々は長く続かず
ウィステリアは、変態的な貴族に売られることが決まり、兄と同じく人身売買の犠牲になる運命に直面します。
彼女はマルバスに、自分の魂を差し出す代わりに助けてほしいと懇願します。

しかし、悪魔であるマルバスは対価なしでは人を助けられない存在。
もしそのルールを破れば、悪魔の体は崩壊してしまいます。
魂を差し出そうとするウィステリア、頑なに断るマルバス。
彼にとって魂は寿命を延ばすものでしたが、すでに不老不死である彼にとっては価値がありませんでした。
そんなマルバスも、ウィステリアが貴族のもとに連れ去られる場面を目の当たりにすると、衝動を抑えきれなくなります。
体が崩れ始めるリスクを抱えながら、彼女を買い取るため貴族の屋敷に押しかけたのです。
そこでマルバスはウィステリアへの思いを告白し、彼女もまた視力と引き換えに未来を共にする決意を固めます。

結果、屋敷は崩れ去り、ウィステリアを抱えたマルバスは新たな生活を始めることに。
こうして二人は郊外の空き家で共同生活を始めます。
新たな環境の中、二人はレストランで楽しい食事を共有し、マルバスは「ウィステリアが亡くなるその時まで面倒をみる」と宣言。
まるでプロポーズをしたようなその言葉に、特別な絆が生まれるのを感じます。
しかし、二人に再び大きな試練が訪れます。
悪魔絡みの事件が近隣で発生し、マルバスはその解決のため家を出ます。
その間、留守番していたウィステリアに下級悪魔が近づきますが、マルバスが間一髪で阻止。
さらに、彼女の兄スノウが探偵の助けを借りてマルバスを追い詰めますが、スノウの発砲は失敗。
マルバスは彼を東の森に誘い込みます。
森での対峙の末、ウィステリアの説得によりスノウとマルバスは一時休戦。
一見、敵対する二人ですが、ウィステリアの存在を通じて複雑な関係が浮かび上がります。
物語はここで幕を閉じ、新たな展開が待ち受ける期待感を高めます。
キャラクターたち
ウィステリア
孤児であった少女。

悪魔であるマルバスをはじめ、他の人と違ったモノが視えた。
上流階級の子弟に見えたり、貴族が買い取ろうとするほど器量が良い。
小さい頃から、言い出したら聞かないところがあり、普段は気丈に振る舞うことが多い。
マルバスとスノウの二人の言い争いを諌めた。
マルバス
崩国の13災の1柱。

大悪魔だが近年は人々から認識されることが少なくなった。
長い赤髪の紳士に化けられる、とウィステリアに伝えた際笑われた。
(そんな赤髪の長髪なんかにしたらみんな気になるでしょうよ、ということ?)
悪魔であるが冷静で不必要な殺生はしないようである。1巻では。
スノウ

顔立ちはウィステリアと見紛うほどキレイな顔をしている。
悪魔滅殺を目的とした剣十字に所属。
ウィステリアによると口と態度が悪い、とのこと。
スノウがマルバスの居場所を探すのに依頼した探偵がどうやらシャーロックホームズ、らしい。
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