『私を喰べたいひとでなし』とは
『私を喰べたいひとでなし』は、人魚伝説をモチーフにしたダークファンタジー作品です。
事故で家族を失った少女・八百歳比名子と、彼女を「喰べたい」と語る人魚の少女・汐莉との出会いから物語が始まります。
死と生、孤独と絆、そして「食べる/食べられる」という関係性を通じて、人間の心の奥底にある欲望や弱さを描いているのが特徴です。
アニメで本作を知った方、これからアニメを見てみよう、原作を読んでみよう、という方に是非!
あらすじ
事故で家族を失った八百歳比名子。
家族の「比名子だけでも生き残って」という願いがあり、自ら命を絶つことはしません。
しかし心の奥底では「不可抗力で命を落としたい」と願っている節があります。
そんな比名子の前に現れたのが、近江汐莉という少女。
彼女は「比名子を喰べるために探していた」と告げます。
死を望む比名子にとって、その言葉は「救い」にも聞こえました。
ここから二人の奇妙な関係が始まります。
登場人物紹介
八百歳比名子(やおとせ ひなこ)

- 名前の由来は「八尾比丘尼」伝説から来ていると考えられる。
- 家族を事故で失い、孤独な生活を送る。
- 料理は苦手だったが、友人の美胡に教わり少しずつ上達。
- 真夏でも制服の下に長袖インナーを着るなど、心身に影を抱えている。
- 汐莉から「君を喰べに来た」と告げられた際、死への願望から喜びを感じてしまう。
社美胡(やしろ みこ)

- チョーカーがトレードマークの女子高生。
- 比名子を放っておけず、料理を教えるなど面倒見が良い。
- おしゃれ好きで生活指導の対象になることも。
- 比名子にとって支えとなる存在。
近江汐莉(おうみ しおり)

- 比名子が海に身を乗り出したときに止めた少女。
- 正体は人魚であり、比名子を「喰べたい」と語る。
- 「食べごろになるまで守る」と断言し、比名子を夏祭りに誘うなど行動的。
- 人魚の姿では鱗や鋭い爪、水かきのある指を持つ。
- 比名子を守る一方で、彼女を「美味しくするため」に導いていく。
印象的なシーン
磯女との戦い
比名子を狙い、海中に引きずり込もうとした妖怪・磯女。
汐莉が比名子を救出し、本来の姿に戻って磯女を切り刻む場面は圧巻です。
返り血を浴びる汐莉の姿は、恐怖と美しさが同居する強烈な印象を残します。

比名子の心情描写
「死なせてくれるかもしれない」と汐莉の言葉に喜ぶ比名子の姿は、希死念慮を抱える彼女の心を端的に表しています。
生きることへの葛藤が物語全体を支配しています。

この作品が教えてくれること
『私を喰べたいひとでなし』は、単なるホラーやファンタジーではありません。
- 生きることの意味:比名子は死を望みながらも「生き残れ」と言われた家族の言葉に縛られています。
- 人とのつながり:美胡や汐莉との関わりを通じて、孤独な比名子が少しずつ変わっていく姿が描かれます。
- 欲望と恐怖の共存:汐莉の「喰べたい」という欲望は恐怖であると同時に、比名子にとっては救いでもあるのです。
この作品は「生と死」「孤独と絆」「恐怖と救い」という相反するテーマを巧みに描き、読者に深い余韻を残します。
まとめ
マンガ『私を喰べたいひとでなし』は、人魚伝説をベースにした異色の青春ダークファンタジーです。
比名子と汐莉の関係性は、単なる捕食者と被食者ではなく、互いの心を映し出す鏡のようなもの。

不安定な心を抱える比名子が、汐莉や美胡との関わりを通じてどう変わっていくのか。
今後の展開から目が離せません。
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